春試験に落ちてまた受験することになった応用情報技術者試験 (AP)の受験記です。
後世への糧になってほしい。
応用情報技術者試験とは?
まずは部員へ受験勧誘。応用情報技術者試験って,意外と社会(特に高校生?)からの認知度が意外と低いみたいなので解説したいと思います。
応用情報技術者試験とは,IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が行う情報についての幅広い知識を問う試験です。IPAってイソプロピルアルコールみたいでかっこいい名前ですよね。
少々前に,QuizKnockの鶴崎修功さんが合格を発表されていたので名前を聞いたことがある方もいるかもしれませんね。その対象は
ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/ap.html
とされています。なんか強そうに書いてありますが,受験者としては大学生や入社後数年のPGさんなどが多いようです。多分。
レベル
数多くある情報処理技術者試験には,その位置づけをわかりやすくするために「スキルレベル」が設定されています。スキルレベルは1~4が設定されていて,数字が大きいほど難しいものになります。
具体的には以下の表の通りです。
名称 | レベル | 主な対象 |
ITパスポート | 1 | ITを利活用する者 |
情報セキュリティマネジメント試験 | 2 | ITを利活用する者 |
基本情報技術者試験 | 2 | 情報処理技術者 |
応用情報技術者試験 | 3 | 情報処理技術者 |
各種高度情報処理技術者試験 | 4 | 情報処理技術者 |
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/list.html
ITパスポート・情報セキュリティマネジメント試験は基本的にパソコンを使えることを問うような試験らしいです。また,「応用」の名を冠するだけあって下に存在している基本情報技術者試験は,学生の受験者が多いみたいですね。
自分で受けておいてなんですが,応用情報技術者試験はそこそこにレベルが高い試験と言っていいと思います。
合格率
受験者の平均年齢はだいたい20代後半くらい。ただ,実際に受けてみると年齢層高めの方から大学生までそこそこ多くの方が受けている印象をうけます。
そんな応用情報技術者試験の合格率は,大体20%代。平均年齢から察するに,社会人の方も多いはずですがそれでもこの合格率。しっかりと勉強しないとそう簡単には合格できない試験でしょう。
別名的なものとか
応用情報技術者試験を始め,各種情報処理技術者試験には英語での名称に基づいた略称があります。
応用情報技術者試験の英語名は
Applied Information Technology Engineer Examination
かっこいい名前してますね。略称はAPです。これからばしばし使いますので覚えておいてください。
合格者のレベル
期待される技術水準
IPA公式サイトでは,APの合格者に要求されるような技術・知識についてこう述べられています。
ITを活用した戦略の立案、システムの企画・要件定義、設計・開発・運用に関し、担当する活動に応じて次の知識・技能が要求される。
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/ap.html
- 経営戦略・IT戦略の策定に際して、経営者の方針を理解し、経営を取り巻く外部環境を正確に捉え、動向や事例を収集できる。
- 経営戦略・IT戦略の評価に際して、定められたモニタリング指標に基づき、差異分析などを行える。
- システム又はサービスの提案活動に際して、提案討議に参加し、提案書の一部を作成できる。
- システムの企画・要件定義、アーキテクチャの設計において、システムに対する要求を整理し適用できる技術の調査が行える。
- 運用管理チーム、オペレーションチーム、サービスデスクチームなどのメンバーとして、担当分野におけるサービス提供と安定稼働の確保が行える。
- プロジェクトメンバーとして、プロジェクトマネージャ(リーダー)の下でスコープ、予算、工程、品質などの管理ができる。
- 情報システム、ネットワーク、データベース、組込みシステムなどの設計・開発・運用・保守において、上位者の方針を理解し、自ら技術的問題を解決できる。
難しい文章ですね。読む気が失せた方も多いはず。内容としては,幅広い分野・場面で一定レベル以上の応用的な技能が必要って感じでしょうか。ここに書かれているように経営戦略などに関する知識も必要です。学生にとって辛いのはこの辺ですね。
業務と役割
AP合格者が1人で果たせるべき業務についてはこう述べられています。
独力で次のいずれかの役割を果たす。
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/ap.html
- 組織及び社会の課題に対する、ITを活用した戦略の立案、システムの企画・要件定義を行う。
- システムの設計・開発、汎用製品の最適組合せ(インテグレーション)によって、利用者にとって価値の高いシステムを構築する。
- サービスの安定的な運用を実現する。
上流工程から下流工程,保守のような話までかなり多岐にわたります。ただ情報処理技術者向けということで,業務の内容にはあまり経営的な内容にはありませんね。
メリット
APは,ある程度ハイレベルな試験ですので合格するとそこそこ大きなベネフィットがあります。
具体的には次の通り。
- 高度情報処理技術者試験の午前I試験の科目免除(合格後2年間)
- 弁理士試験の科目免除(理工V・情報)
- 中小企業診断士試験の科目免除(経営情報システム)
- 技術陸曹・海曹・空曹の任用資格
- 予備自衛官の任用資格(予備1等陸曹)
- 予備自衛官補(技能公募受験資格)
- 警視庁特別捜査官の3級職(巡査部長)のサイバー犯罪捜査官の任用資格
- 教員資格認定試験(高等学校教諭一種(情報))の受験資格
- 日本測量協会の空間情報総括監理技術者試験の受験資格
さらに,学校によっては表彰があったり,会社では資格手当がもらえたりするところもあるようです。大学受験でも,これがあると総合型ではかなり強みになるはず。一橋大学では,商学部 経済学科と商学科の学校推薦型選抜の出願要件の一つ1となっています。他の出願要件を見ると,難関資格ばかりですからその威力は凄まじいものでしょう。
個人的な考え
APを受けることで,自分が得た最大のものは「知識」です。APでは,幅広い分野の出題があるため普通にPCをしているだけでは知らなかった,法規関係や戦略などの知識をみにつけることができました。これは何にも勝るメリットだと思います。
試験の構成
APは,午前試験と午後試験の2つの問題を解きます。
午前試験
午前試験は,マークシート(四肢択一)式の試験です。問題数は80問,試験時間は150分です。内容は,セキュリティやデータベースから経営戦略など多岐にわたり,計算問題もいくつか出題されます。特徴としては,過去問からの流用が多く(近年は減少傾向かも?),過去問をどれくらい解いたかが合格と不合格を分ける試験です。
午前試験では,各問1.25点の配点で合計60点以上を取ることができれば合格となります。もし午前試験に不合格となってしまうと,午後試験は採点すらされないので注意が必要です。
とはいえ,対策を行えばあまり落ちるような試験ではありません。実際に,試験を受けていると多くの人が途中退席をしている印象です。自分も午後の詰め込みのために途中退席をしています。
ただ単語の意味を問うだけのような問題もありますし,過去問と全く同じ問題文・選択肢の問題もあります。舐めすぎず,恐れすぎずに受けるのがいいでしょう。
午後試験
午後試験は,記述式の試験で回答するのは全部で大問5つとなります。大問5つのうち,1つは全員必答のセキュリティで,残りは選択です。試験時間は午前と同じ150分なので,人によっては少し短いと感じる場合もあるようです。配点は大問ごとに20点(内訳は未公表),午前と同じく60点以上で合格です。
午後は,記述の難易度もありAPの中の「本番」と言えるような内容です。自分も令和5年春試験では午後試験で不合格になりました。何が出るかも分からず,問題との相性次第という運のような要素もあるので午前よりも格段に難易度が高いと言えます。
選択の内容は以下のとおりです。かなり文系よりな内容もあるので,プログラミングができないから詰み,というわけでもありません。
- 経営戦略
- プログラミング
- システムアーキテクチャ
- ネットワーク
- データベース
- 組込みシステム開発
- 情報システム開発
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
また受けるAP
令和5年春の応用情報技術者試験に,あと2点で不合格となった私は今回の秋APも受けることにしました。弊部顧問も初回受験時は不合格だったようなので許してください。
午前試験の所感
午前試験,なんだか過去問からの流用が減っている気がします。見たこともない問題,単語があってかなり焦りました。正直,試験中はもう午前で不合格という最悪のシナリオを想定しましたね。とはいえ,その後の自己採点では7割近い得点率だったのでひとまず安心です。
今回の試験で,最近増えている「初見問題」の対策はなんなのかわかった気がします。それは結局過去問を解いて,理解することです。IPAも流石に鬼ではありませんから,過去問の知識があれば消去法で解けそうな問題も少しありました。新規問題のために単語を覚えまくる,というのも非効率的ですから,これが一番いい選択なのではないでしょうか。
「コンティンジェンシー理論」なんて言葉とか,対策ほぼ無理だと思いますし。
午後試験
終わりました。多分不合格です。全体的にお話を察するに,システムアーキテクチャ・データベース・情報システム開発あたりは易化っぽいですね。ネットワーク難化はまじです。やばいです。意味わかりませんでした。
まずはセキュリティ。時事ネタに乗っかりたかったのかIPAくんは,パスワード付きZIPについての問題の出題です。例年並みの難易度といったところでしょうか。受験者の一部は「PPAP」のワードに脳内ピコ太郎が反応してしまったようです。僕は大丈夫でした。
システムアーキテクチャを解いた所感は,もう簡単すぎて不安ということでした。ただ表を写すだけ。それでいいのかIPA。
お次に,ネットワーク。問3あたりからもう脳内パンク状態。とりあえず飛ばしておきましたがこの判断は良かったと思います。
パニックのさなかに解いた情報システム開発。めちゃくちゃ簡単でした。これで落ち着くことができたのは良かったかもしれません。前回のGitの話と言い,個人的には一番解きやすい大問がこれです。自分が慣れ親しんだモバイル開発の話だったのも良かった。
サービスマネジメントは,全体的に例年並みの難易度だったのではないでしょうか。そこまで時間もかからず,難しすぎるものもなかったと思います。
そしてシステム監査は,かなりの難化でしょうか。いつものようなボーナスステージの感覚で行けば,爆死間違いなしです。共テの英語リーディングだと思ったら,早稲田理工の英語だったかのような衝撃です。抜き出しするだけではダメそうです。
全体的には,易化と難化の差が激しかったです。データベースはめちゃくちゃだったみたいですね。解いてませんが。
今回やった対策
今回は,主に午後の対策に重きを置きました。前回は午後で落ちたからです。とはいえ,初受験でも午後は特に時間を割くべきでしょう。
おすすめの対策はこの本です。大滝みや子先生は神です。自分は,内容を効率よく理解するためにずっと音読していました。結構おすすめです。
また,APはその性質上過去問の演習量が非常に重要です。おすすめはこのサイトです。
自分はAP過去問道場を,iPhoneのホーム画面に追加して通学時に解いていました。アカウントを作ってログインすれば,学校内でiPadから解いたものもしっかり記録されるのでおすすめです。
直前期には,復習モードを使って過去に怪しかった部分を解いていました。復習モードで解いた問題が3問ほど出題された記憶があるので,この機能はかなりおすすめです。
時間が取れない人は,移動の時間だけでも解けるのでぜひ取り組みましょう。
自分が取った対策は,以上でしょうか。あともう一冊,教本も買いましたがなくてもよかったかなと思います。というのも,過去問道場の解説が優秀で,わからない単語もあまりないものですから参照する機会が少なかったのです。少なくとも,買った場合も全て読み通すなんて気は起こさないのが賢明です。挫折します。まじで。
あとがき
今回はAPについて色々語ってみました。APのために投げ出した中間考査の課題とその他諸々のタスクが積み重なったので長文でしたが,誰かの参考になれば幸いです。
今回のAPは合否が12月21日の発表予定となっているので,その時にはまた記事を書こうと思います。
皆さんも是非,応用情報を受けてみてください!!!
コメント
おつかれ
ありがとうございます
APより中間考査が辛いです